短歌を作ってみました。

広島出身、関西在住です。よろしくお願いします。

振り返る亀

四度まで
振り返り行く亀の恩
(のち)の出世に孔愉(こうゆ)は悟る

 

 

 『晋書』に、次のような話が載っています。ある時、孔愉(こうゆ)という男が道を歩いていると、亀を捕えて籠に入れている者を見かけました。孔愉は憐れんで、何とか助けたいと思い、亀を買い取って、渓流に放してやりました。すると、亀は四度まで孔愉を振返って、去っていきました。

 後に、孔愉は出世して侯に封ぜられました。そこで、侯としての印章を鋳させると、なぜかその印紐の亀の頭が振返って見る形になったので、三度も鋳直させましたが、やはり亀の頭が振返る形になってしまいます。それを見た孔愉ははっとして、今日の自分があるのは、亀の報恩の心よりのことだと悟ったのです。