短歌を作ってみました。

広島出身、関西在住です。よろしくお願いします。

夾竹桃(きょうちくとう)

広島の
祈り支えた夾竹桃
焦土と化して逸早く咲く

 

 

 私がまだ小さかったころ、広島市内を走る路面電車に乗ったときなど、しばしば顔に紫色の大きなケロイドのある大人に出会ったものです。そんな人を見るたび、私たち広島の子は、原爆の恐ろしさを実感すると共に、大人たちの悲惨な犠牲や苦労のあとに生まれてきたのだと、子供心に強く思ったのを覚えています。

 ところで、夾竹桃(きょうちくとう)は、竹のような細い葉でありながら、初夏に桃のような花を咲かせる小高木です。乾燥や公害に強いといわれ、原爆が落とされてから75年間は草木も生えないだろうといわれていた広島の地に、いち早く花を咲かせたのが夾竹桃です。まるで広島の人々を励ますかのように。そうしたことから、夾竹桃は、広島市の花に制定されています。