ふるさとの
山はいつでもそこにいる
ただ黙ったまま
でもそれがよい
不肖私の生まれ故郷は広島市でして、私にとっての身近な故郷の山というと、市内の皿山(さらやま)と沖合に浮かぶ似島(にのしま)です。いずれも小さな山ですが、たまに帰郷してその静かな姿を見ると、この上ない安心感に浸ることができます。とくに皿山は実家の近所にあり、子供のころから、ことあるごとに眺めていた山です。啄木の歌に「・・・ふるさとの山はありがたきかな」というのがありますが、本当にそうですね。
7月に詠んだ歌(後半)
- 赤猪子が御召しを待った八十年乙女心の純真哀れ
- あの人がやらかした大きなミスに必死のパッチの真心こもる
- 効かないぞ全身麻酔ヤバいよと思っていたら手術済んでた
- あのころは深夜ラジオが友だった今とは違う時間があった
- 早起きは朝の美人に出会うため大輪咲きの命短し
- しっぽりとキタの新地の夜は更けて酒と笑いと男と女
- 我々は花を見ている花たちはずっとずっと空を見ている
- 打ち寄せる無数の蟹をつかまえて茹でて食ったり能登の砂浜
- スコップにくっついてきた蟻だけどおまえ帰る道は分かるのか?
- 障害の見せたくなかった妹を皆が称えた勝利の女神
- 母からの宅配便に詰められたあの頃あった遠い日常
- 外洋を揺られて着いた屋久島は上陸しても地面が揺れる
- 高層に勤める君は天神の花火を下に眺めるという
- 庭に出てトマトできたと告げる相手のいる嬉しさよ楽しさよ
- ラムネ開けシュポン、カランと音がしてでも無くなった中身半分
- 嫌がるな夏には夏のよさがある風呂上がりに浴びる扇風機
- 早朝の庭で見つけた空蝉の真新しきに心涼やか
- 清流に逆らい泳ぐメダカ等は前にも後ろにも進まない
- 頭から手足が生えた子供の絵どれもがみんな優しい笑顔